エンジニアの面接で聞かれることは、転職理由・志望動機・経験の深掘り・技術質問・失敗経験・逆質問の6つに整理できます。どの質問でも面接官が確かめているのは、入社後にこのチームで成果を出し続けられるかという1点で、答えはそこから逆算して組み立てます。
6つの質問と、面接官が確かめたいこと
質問の奥にある狙いを先に押さえると、答えの方向がぶれません。
| 質問 | 面接官が確かめたいこと | 評価が分かれるところ |
|---|---|---|
| 転職理由 | 同じ理由で、うちでも辞めないか | 不満の言い換えで終わるか、次に求めることまで言えるか |
| 志望動機 | 転職理由とつながっているか、その会社を調べたか | どの会社にも言える内容か |
| 経験の深掘り | 書類の経験が本人のものか、担当範囲と判断 | 「チームで」を自分の役割に分けて話せるか |
| 技術質問 | 知識の量より、理解の深さと考え方 | 分からないときの動き方 |
| 失敗経験 | 原因の捉え方と、その後の行動 | 他責か、再発防止まで話せるか |
| 逆質問 | 入社意欲と、何を重視して働く人か | 調べれば分かることを聞いていないか |
運営会社の採用支援の現場では、現場のエンジニアが担当する面接で経験と技術の質問が多く、責任者や役員が担当する面接で転職理由・志望動機・逆質問が多くなる傾向があります。
同じ質問でも、聞き手によって掘り下げる深さが変わるため、答えは2段階で用意しておきます。
面接官は、同じ質問を同じ物差しで見ている
Googleが人事の取り組みを公開しているre:Workは、構造化面接を、すべての応募者に同じ質問と同じ評価尺度を使い、事前に決めた要件で判断する方法と説明しています(2026年3月更新)。
質問は、「〜したときのことを教えてください」と過去の行動を聞くものと、「〜だったらどうしますか」と仮の場面を聞くものに分かれます。どちらにも、考え方を掘る追加の質問があらかじめ用意されます。
回答は、poor・borderline・solid・outstandingの4段階の回答例に照らして採点され、見られるのは唯一の正解ではなく考えの筋道だと書かれています。ここから読み取れるのは、面接官が見ているのは答えの上手さではなく、具体的な行動と考え方が出たかということです。
運営会社の採用支援の現場では、面接後の所見で評価が分かれる場面は、次の3つです。
- 追加の質問に具体で答えられるか:最初の答えは準備してきた話で、2問目以降に本人の経験が出ます
- 話が1本の線でつながっているか:転職理由、志望動機、これまでの経験が、同じ軸で語られているかを見ます
- 分からないことや失敗を、どう扱うか:隠さずに、原因と次の行動まで話せるかで、入社後の振る舞いを想像します
AIで書類や提出物を整えやすくなった分、面接で確かめる比重は上がっていると考えられます。カミナシのエンジニアブログ(2026年9月)は、生成AIの普及後、持ち帰り課題の提出物から見える経験値と、面接で見える経験値が一致しないケースが出てきたと書いています。
転職理由:不満を「次に求めること」まで言い切る
転職理由で面接官が確かめるのは、同じ理由で、うちでも辞めないかです。
dodaが2025年8月に、20〜59歳の正社員978人へ行った調査(2024年7月〜2025年6月に転職した人の理由、35項目から複数回答)では、1位が「給与が低い・昇給が見込めない」で36.6%、2位が「労働時間(残業・休日出勤)への不満」で26.3%、3位が「個人の成果が評価されない」で22.8%でした。
本音の上位は、処遇・労働時間・評価への不満です。面接官もそれを分かっているので、不満があること自体は評価を下げません。
同じdodaのページは、うそや曖昧な答えは避けつつ、否定的な言い方にもしないよう勧めています。現職と自分のキャリアの目標とのずれを、具体的な事実で話し、応募先につなげる形です。
組み立ては、次の3段です。
- 事実:何が起きたかを、数字や制度で言います。感想は入れません
- 試したこと:現職の中で変えようとしたことと、その結果を言います
- 次に求めること:次の環境で何をしたいかで締めます
例(評価に不満があった場合)です。
現職の等級は勤続年数で上がる仕組みで、3年目に設計を任されても等級は変わりませんでした。評価面談で仕組み自体は変えられないと分かったため、担う役割の大きさで評価が決まる環境で、設計から運用まで責任を持ちたいと考えています。
この例は、現職を悪く言わず、不満を「仕組みの事実」として述べ、最後を次にやりたいことで締めています。
年収そのものが理由のときも、隠す必要はありません。担っている役割と成果に対して処遇が合っていない、という形で、事実を添えて話します。
志望動機:転職理由と同じ軸でつなぐ
志望動機で面接官が最初に見るのは、転職理由とつながっているかです。転職理由で「リリース後の改善に関われなかった」と話した人が、志望動機で「幅広い技術に触れたい」と話すと、軸がずれて聞こえます。
材料は次の3つです。
- その会社の事実:事業、技術スタック、開発体制、技術ブログなど、自分で調べたことです
- 自分の経験との接点:これまでの経験の、どこがその会社の課題や環境に生きるかです
- 入社後にやること:最初の半年から1年で担当したいことです
例(転職理由が「納品で関わりが終わる」だった場合)です。
受託開発で、納品後の利用状況を見られないことが続きました。御社は自社サービスで、技術ブログにリリース後の計測と改善の流れを書かれていて、その工程に最初から入れる点に魅力を感じました。入社後は、まず機能ごとの利用率の計測から担当したいです。
どの会社にも言える動機は、面接官が最も早く見分けます。「成長できる環境」「裁量がある」だけでは、他社の面接でも同じ文が使えるため、「当社のどこからそう考えましたか」と聞き返されます。
文章をAIに整えさせる場合も、会社について書く事実は、自分で調べて確かめたものにします。
未経験からの応募では、仕事の経験の代わりに、学習や個人開発で何に困り、どう解決したかを接点にします。書き方は未経験エンジニアの志望動機の書き方にまとめています。
経験の深掘り:2問目で差がつく
経験の質問は、職務経歴書に書いた案件を起点に、掘り下げられます。書類の書き方はエンジニアの職務経歴書の書き方にまとめています。
深掘りで聞かれやすいのは、次の5つです。
- そのとき、あなたの担当はどこまででしたか
- なぜその技術・設計を選びましたか。ほかの案はありましたか
- 一番つまずいたのは何で、どう解決しましたか
- 数字で言うと、何がどう変わりましたか
- もう一度やるなら、何を変えますか
答えは、状況(規模・期間・人数)、自分の役割、判断とその理由、結果、振り返りの順に組み立てます。
特に、「チームで」という主語を、自分の行動に分けることが大事です。
例(「チームでDBを移行しました」と書いた場合)です。
5人のチームで、私は移行計画と切り戻し手順を担当しました。一括で切り替える案もありましたが、停止できるのは15分までという条件だったため、段階的に移す案を提案して採用されました。結果として、移行中の障害はありませんでした。
AIを使った開発経験は、特に掘り下げられます。ファインディが2025年7月9〜18日に、同社の転職サービスなどを使う企業220社へ行った調査(ITmedia報道)では、候補者の評価でAI技術やツールの活用経験を重視する企業が57.0%で、2025年2月の前回調査の18.1%から増えました。
話せるようにしておくのは、AIに任せた範囲と自分で決めた範囲、AIの出力で直したところの2点です。AIの経験の書き方は職務経歴書にClaude Codeをどう書くかに、作品側の見られ方はAIで作ったポートフォリオは評価されるかにまとめています。
技術質問:答えの正しさより、考えの筋道が見られる
技術質問は、次の3種類に分けて準備します。
| 種類 | 質問の例 | 見られること |
|---|---|---|
| 知識の確認 | トランザクションとは何ですか | 用語の理解と、自分の言葉で説明できるか |
| 経験に結びついた選択 | なぜそのDBを選びましたか | 判断の理由と、トレードオフの認識 |
| 場面への対処 | 本番のAPIが急に遅くなったら、どう調べますか | 切り分けの順序と、優先順位の付け方 |
場面への対処は、正解を言い当てる質問ではなく、調べる順序を見る質問です。
たとえば本番のAPIが遅い場合は、影響範囲(全体か一部か)、直近の変更、ログと指標、DBや外部APIの状況、切り戻すかの判断の順に話します。順序を声に出すと、面接官は追加の質問で足りない部分だけを聞けます。
分からない質問のときは、知っていること、推測していること、調べる手順を分けて話します。分かったふりをするより、どこまで分かっているかの境界を示すほうが、面接官の判断材料になります。
面接中にAIを使えるかは、会社によって違います。Anthropicの応募者向け案内は、ライブの面接は案内がない限りAIなしと書いています。
一方、CanvaはAIを使うコーディング面接を設けています。面接官向けのブログには、曖昧な要件を分解できるか、AIの出力を批判的に確かめて直せるか、技術の判断を説明できるかを見ると書かれています。
カミナシのブログ(2026年9月)は、設計を題材にしたライブの面接へ切り替える方向を検討し、AIの使用は可としています。
公表例はコーディングテストでAI使用OKの企業は何を見るかにまとめています。
失敗経験:原因を自分の判断まで戻して話す
失敗経験の質問で面接官が確かめるのは、失敗の大きさではなく、原因の捉え方と、その後の行動です。
組み立ては、次の4つです。
- 何が起きたか:影響の範囲を、事実で短く言います
- 原因:自分の判断のどこが分かれ道だったかを言います
- その場の対応:どう止め、どう直したかを言います
- 仕組みでの再発防止:次から同じことが起きないために、何を変えたかを言います
例です。
リリース前の確認で、取り込んだ件数と元データの件数の突き合わせを省きました。翌日、一部のデータが取り込まれていないことに気づき、その日のうちに再取り込みしました。テスト環境のデータが少なく、欠けても気づけなかったのが原因です。以降は、取り込み件数を元データの総数と自動で比較し、差があれば止める確認を入れました。
他人や環境のせいにする話は、振り返りが浅いと受け取られやすくなります。「特に失敗はありません」という答えも、話の材料がないと見られかねません。
AIを使う開発では、AIの出力を確かめずに通した場面が、失敗談の題材になりやすくなっています。運営会社が自社のプロダクトをAIと開発・運用する中で起きたことは、AI開発の失敗事例9つにまとめています。
逆質問:入社後の働き方を具体的にする
逆質問で面接官が見ているのは、入社意欲と、この人は何を重視して働くかです。質問の数より、中身から優先順位を読み取ります。
聞きやすいのは、次の3つの方向です。
- 仕事の進め方:コードレビューの体制、リリースの頻度、ドキュメントの置き場所などです
- 期待される役割:入社後3か月で期待されることと、成果の測り方です
- 評価と成長:何ができると、次の役割に進めるかです
入社後のギャップを調べた調査があります。キッカケクリエイションが2025年7月24〜25日に、ITエンジニアからの退職経験者438人へ行ったインターネット調査(IDEATECHのリサーチで実施)では、74.9%が入社前後にギャップがあったと答えました。
ギャップの内容は、ギャップがあった328人の複数回答で、残業時間が想定より多かったが45.7%、ドキュメントがほとんど整備されていなかったが41.2%、オンコール対応の頻度が聞いていたより多かったが31.7%でした。
この3つは、逆質問でそのまま聞ける項目です。
例です。
ドキュメントの整備状況を知りたいのですが、新しく入った人が最初に読む資料は、どこにまとまっていますか。
避けたいのは、求人票や公式サイトを見れば分かる質問と、給与の細かい条件だけの質問です。条件面の最終確認は、内定後のオファー面談で確認することで行います。
聞かれても答えなくてよい質問と、面接前の準備
厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある14事項を、採用選考時に配慮すべき事項として挙げています。本籍・出生地、住宅状況、家族、生活環境、宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合や社会運動に関することなどです。
同じページは、面接で家族に関する質問をされたという指摘が多く、面接の空気を和らげるために聞いてしまう例が多いと注意しています。「尊敬する人はいますか」のような雑談も、この中に入ります。
悪意なく聞かれることが多いので、対立する必要はありません。「仕事とのつながりを教えていただけますか」と、穏やかに意図を確かめる方法があります。
最後に、面接の前にやる準備を5つにまとめます。
- 職務経歴書の案件を1つ選び、役割・判断・結果・振り返りを2分で声に出して話します
- 転職理由を、事実、試したこと、次に求めることの順で書き出します
- 志望先の事業・技術・開発体制から、自分で調べた事実を3つ選び、志望動機の根拠にします
- 逆質問を、仕事の進め方・期待される役割・評価の3方向から1つずつ用意します
- 面接中にAIを使えるかを、案内で確かめます。書かれていなければ、事前に人事へ質問します
エージェントを使う場合は、面接官の役職や選考で重視されている点を担当者に聞いておくと、準備の的が絞れます。使い方は転職エージェントの使い方に、選び方はIT特化の転職エージェントの比較にまとめています。
応募から入社までの段取りは、エンジニアの転職の流れと期間にあります。
今日は、1番の2分間の話を録音して聞き返すところから始めてください。声に出して詰まったところが、面接で深掘りされる場所です。



